個人事業の開業手続き:開業届・青色申告承認申請書の出し方と期限
結論:個人事業の開業は、まず税務署に「開業届」と「青色申告承認申請書」を出す
個人事業主として始めるときの中心になる手続きは、税務署への開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)です。あわせて、青色申告承認申請書を出しておくと、確定申告で青色申告の特別控除などを受けられます。提出には期限があるため、開業日をもとにスケジュールを確認します。
開業時に必要な主な手続き
| 手続き |
提出先 |
期限の目安 |
| 個人事業の開業・廃業等届出書(開業届) |
税務署 |
開業日から1か月以内 |
| 所得税の青色申告承認申請書 |
税務署 |
下記参照 |
| 事業開始等申告書 |
都道府県税事務所(自治体による) |
自治体が定める期限 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 |
税務署 |
従業員に給与を支払うとき。開設から1か月以内 |
| 国民健康保険・国民年金の手続き |
市区町村の窓口 |
会社を辞めたとき等、状況による |
| 許認可・届出 |
所管の窓口 |
業種により、開業前に必要 |
開業届は、提出しなくても事業を始めることはできますが、提出しておくと、青色申告の申請や、融資・補助金の申請、事業用の口座開設などの場面で必要になります。
1. 開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)
開業日から1か月以内に、事業を行う場所(納税地)を管轄する税務署に提出します。書式は国税庁のWebサイトから入手でき、e-Taxや郵送でも提出できます。
記載する主な項目は、氏名・住所、屋号(任意)、事業の概要(職業)、開業日、青色申告の申請の有無などです。
2. 青色申告承認申請書
青色申告は、帳簿を付けて申告することで、青色申告特別控除(所得から一定額を差し引ける)などの優遇を受けられる制度です。優遇を受けるには、事前に承認を受けます。
提出期限は、次のとおりです。
- 開業日が1月1日〜1月15日の場合:その年の3月15日まで
- 開業日が1月16日以降の場合:開業日から2か月以内
期限を過ぎると、その年は青色申告を選べず、白色申告になります。開業届と同時に出しておくのが確実です。
青色申告特別控除の額は、帳簿の付け方と申告方法(e-Taxによる申告や、電子帳簿保存など)によって異なります。控除額は税制改正で変わることがあるため、最新の額は国税庁の案内で確認してください。
3. 事業開始等申告書(都道府県税)
業種によって、個人事業税の課税対象になります。事業開始の申告が必要かどうかは、自治体によって扱いが異なります。事業を行う場所の都道府県税事務所に確認してください。
4. 従業員を雇うときの手続き
従業員に給与を支払う場合は、次の手続きが必要になります。
- 給与支払事務所等の開設届出書:税務署。開設から1か月以内
- 労働保険(労災保険・雇用保険)の手続き:労働基準監督署・ハローワーク
- 社会保険(健康保険・厚生年金):個人事業主は、業種と従業員数によって、加入が必要かどうかが分かれます。年金事務所に確認してください。
5. 公的な保険と年金
会社員を辞めて個人事業主になるときは、次の切り替えが必要です。
- 健康保険:国民健康保険に加入するか、一定の条件で、前の勤務先の健康保険の任意継続を選ぶ
- 年金:厚生年金から、国民年金(第1号被保険者)へ切り替える
退職後の手続きには期限があるため、退職前に、市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
6. 許認可が必要な業種
飲食店(食品衛生法)、古物商(古物営業法)、建設業、人材紹介・派遣、美容室などは、開業前に許可・届出が必要な場合があります。許認可が必要な業種で、許可を受けずに営業を始めることはできません。 所管の窓口で、事前に確認しましょう。
7. 開業後に続けること
- 帳簿をつける:売上・経費を日々記録し、領収書や請求書、契約書を保存する
- 確定申告:原則として、翌年の2月16日〜3月15日に、前年分の所得を申告する
- 電子取引のデータ保存:メールやクラウドで受け取った請求書・見積書などは、電子データのまま保存する必要がある
- インボイスの対応:取引先の状況に応じて、適格請求書発行事業者の登録を検討する
開業手続きのチェックリスト
- 開業日を決めたか(開業届と青色申告の期限の起点になる)
- 開業届を、開業日から1か月以内に出せるか
- 青色申告承認申請書の期限(3月15日、または開業から2か月以内)を確認したか
- 都道府県税事務所への申告が必要か確認したか
- 国民健康保険・国民年金の切り替えを済ませたか
- 許認可が必要な業種か確認したか
- 事業用の口座と、記帳・請求書発行の仕組みを用意したか
出典・確認先
- 国税庁「個人事業の開業届出・廃業届出等関係」(https://www.nta.go.jp/)
- 日本年金機構(https://www.nenkin.go.jp/)
手続きの期限や書式は変更されることがあります。実際の提出前に、税務署や税理士にご確認ください。
よくある質問
開業届はいつまでに出せばよいですか?
開業日から1か月以内に、納税地を管轄する税務署へ提出します。出さなくても事業は始められますが、青色申告の申請や融資、事業用口座の開設などで必要になることがあります。
青色申告承認申請書の提出期限はいつですか?
開業日が1月1日〜1月15日の場合はその年の3月15日まで、1月16日以降の場合は開業日から2か月以内です。期限を過ぎると、その年は青色申告を選べません。
開業届は郵送やオンラインでも出せますか?
はい。税務署の窓口のほか、郵送やe-Taxでも提出できます。書式は国税庁のWebサイトから入手できます。
会社を辞めて個人事業主になるとき、保険や年金はどうなりますか?
健康保険は国民健康保険に加入するか、条件を満たせば前の勤務先の健康保険の任意継続を選びます。年金は厚生年金から国民年金へ切り替えます。手続きには期限があるため、市区町村の窓口で事前に確認してください。
他の記事
Markdown版